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再建築不可・接道が悪い工場は売却できる?売却時の注意点と対処法

2026年10月28日 更新

住宅に挟まれた細い通路の奥に建つ古い工場・倉庫
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古くから操業している工場や倉庫の中には、敷地の前の道路が狭い、そもそも道路にほとんど接していないといった理由で、「今の建物を取り壊すと、同じ場所に建て直すことができない」物件があります。いわゆる「再建築不可」の物件です。売却を考えたときに、「建て替えられない工場なんて買い手がつくのだろうか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

結論からいえば、再建築不可や接道条件の悪い工場・倉庫でも、売却することは可能です。ただし、買主が限られることや、価格が下がりやすいことなど、通常の物件とは違う注意点があります。本記事では、再建築不可になる理由と確認方法、売却するときの注意点、再建築できる状態に近づけるための方法、主な売却先までを分かりやすく解説します。あわせて、接道の問題が売却の場面で表面化しやすい、よくあるご相談のパターンや、接道の悪い工場から機械を運び出す際に、機械買取の現場で実際に起きていることもご紹介します。

再建築不可とはどういう状態か

建築基準法では、建物を建てる敷地は、原則として幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していなければならないと定められています。これを「接道義務」といいます。火災や災害の際に消防車や救急車が入れるようにすること、避難経路を確保することなどが目的です。この接道義務を満たしていない敷地では、原則として新たに建物を建てることができません。そのため、今ある建物を取り壊してしまうと、同じ場所に建て直すことができない状態になります。これが「再建築不可」と呼ばれる状態です。

なお、接道義務は、都市計画区域と準都市計画区域の中で適用されるルールです。また、建築基準法が施行される前から建っている建物や、建てられた後に法律や道路の扱いが変わった建物は、現在の基準を満たしていなくても、直ちに違法になるわけではありません。このような建物は「既存不適格建築物」と呼ばれ、そのまま使い続けることは認められています。問題になるのは、建て替えや増築をしようとしたときです。

工場・倉庫が再建築不可になりやすい主なケース

敷地が道路に2m以上接していない

敷地が道路にまったく接していない、あるいは接している部分の長さが2mに満たないケースです。奥まった場所にある敷地で、細い通路だけで道路とつながっている、いわゆる「旗竿地」の形状の工場などがこれにあたります。通路部分の幅が途中で2mを下回っている場合も、接道義務を満たさないことがあります。

前面の道が建築基準法上の「道路」ではない

見た目は普通の道路でも、建築基準法上の道路として認められていない道に面している場合は、接道義務を満たしていないことになります。古い工業地帯や農地を転用した土地などでは、昔からの通路や私的な通路に面しているだけ、というケースが見られます。

自治体の条例で、より厳しい接道条件が課されている

工場・倉庫で特に注意したいのが、自治体の条例による上乗せの基準です。建築基準法上は2m以上の接道で足りる場合でも、多くの自治体では、延べ面積の大きい建物や、工場・倉庫などの用途の建物について、より長い接道や、より広い道路への接道を求める条例を定めています。住宅であれば建て替えられる敷地でも、同じ規模の工場や倉庫は建てられない、ということが起こり得るのです。

たとえば東京都の建築安全条例では、延べ面積が1,000㎡を超える建築物の敷地について、延べ面積に応じて道路に接する長さを6m以上、8m以上、10m以上と段階的に定めています。延べ面積が数千㎡になる工場や倉庫では、2mの接道があるだけでは足りず、同じ規模の建物を建て直すことができないケースがあるということです。基準の内容は自治体ごとに異なるため、物件の所在地の条例を確認することが欠かせません。現在の建物が建てられた後に条例が定められたり改正されたりして、今の建物と同じ規模では建て替えられなくなっている場合もあります。

再建築不可かどうかを確認する方法

ご自身の工場・倉庫が再建築不可かどうかは、まず市区町村の建築指導課などの窓口で、敷地が面している道路の種別を確認するのが基本です。前面の道が建築基準法上の道路かどうか、道路の幅員はどのように扱われているか、といった点を確認できます。窓口では、建物を建てたときの建築確認の記録が残っているかどうかもあわせて確認しておくとよいでしょう。

あわせて、手元の資料も確認しておきます。建物を建てたときの建築確認済証や検査済証、建物の図面、土地の測量図や公図などがあると、敷地と道路の関係を把握しやすくなります。特に、敷地が道路に接している部分の長さは、実際に測ってみると2mにわずかに足りなかった、ということもあるため、正確な数値を確認することが大切です。判断が難しい場合は、建築士や土地家屋調査士に調査を依頼する方法もあります。

接している部分の長さを正確に把握するためには、土地の境界が確定していることも重要です。隣地との境界があいまいなままだと、接道の長さそのものが確定できず、買主から境界の確定を求められることもあります。過去の確定測量図や境界確認書が残っていない場合は、売却の準備として測量を検討しておくとよいでしょう。測量にかかる費用の考え方については、工場・倉庫の売却にかかる費用の内訳で解説しています。

「接道が悪い」工場・倉庫は再建築できても評価が下がることがある

再建築不可とまではいかなくても、前面の道路が狭い、敷地の間口が狭いといった「接道が悪い」工場・倉庫は、売却時の評価が下がることがあります。工場・倉庫の場合、大型トラックやトレーラーが出入りできるかどうかが、使い勝手を大きく左右するためです。前面道路が狭く、大型車が入れない、あるいは敷地内で転回できない物件は、物流倉庫や製造拠点としての需要が限られてしまいます。

また、幅員4m未満の道で、建築基準法上の道路とみなされている、いわゆる「2項道路」に面している場合は、建て替えの際に、道路の中心線から2mの位置まで敷地を後退させる「セットバック」が必要になります。セットバックした部分には建物や塀を建てられないため、実際に使える敷地の面積が小さくなります。こうした条件は買主の検討材料になるため、売却前に把握しておきましょう。物流倉庫として評価されやすい立地の特徴については、物流倉庫の需要が高いエリアの特徴とはもあわせてご覧ください。

🏭 機械買取の現場から

接道の悪い工場では、機械の搬出にも手間と費用がかかる

当センターを運営するEkuippは中古機械の買取(機械買取センター)も手がけており、工場の閉鎖や売却にあわせて機械を引き取りに伺います。その現場で、接道の悪い工場ならではの苦労に直面することは少なくありません。前面の道路が狭く、大型トラックやクレーン車が敷地に入れないため、小さなトラックで何回にも分けて運び出したり、道路上に車両を止めて作業するために警察署で道路使用許可を取ったりすることがあります。住宅に囲まれた町工場では、作業できる時間帯が限られたり、騒音や通行の妨げにならないよう近隣への配慮が欠かせなかったりします。入口のシャッターや通路が狭く、機械をそのままでは運び出せずに分解して搬出することもあります。こうした条件が重なると、同じ機械でも搬出や運搬にかかる費用は高くなります。接道の悪さは、建物の評価だけでなく、中に残った機械を処分する際の費用にも影響することを知っておくと、売却の計画を立てやすくなります。

再建築不可の工場・倉庫を売却するときの注意点

買主が限られ、価格が下がりやすい

再建築不可の物件は、建て替えができないため、将来の建て替えや増築を前提に購入したい事業者は買主の候補から外れます。また、金融機関は再建築不可の物件を担保として評価しにくく、買主が購入資金の融資を受けにくい傾向があります。その結果、買主の範囲が限られ、同じ立地・規模の通常の物件と比べて、売却価格は大きく下がるのが一般的です。

建物を解体すると、かえって売りにくくなることがある

古い建物は解体して更地にしたほうが売りやすい、と考える方もいますが、再建築不可の物件では注意が必要です。建物を解体してしまうと新しい建物を建てられないため、土地の使い道が大きく制限されてしまいます。現在の建物をそのまま使いたいという買主にとっては、建物が残っていることに価値があります。解体を検討する場合は、解体後の土地の使い道や、再建築できる状態にする見込みがあるかどうかを確認してから判断することが大切です。

既存の建物にも制限がかかる

再建築不可の建物は、そのまま使い続けることはできますが、建築確認が必要になる規模の増築や改築、大規模な修繕などは、原則として行うことができません。買主にとっては、将来の設備の入れ替えや建物の改修に制約があることになるため、建物の状態や、どこまで手を入れられるのかを、事前に説明できるようにしておくと交渉がスムーズになります。

🏭 よくあるご相談パターン

売却の準備を始めてから、再建築不可だと分かるケース

長年同じ場所で操業してきた工場では、所有者自身が、敷地が再建築不可の状態にあることを知らないまま使い続けているケースがあります。建物を建てた当時は問題がなかったものの、その後の法改正や道路の扱いの変更によって、現在の基準を満たさなくなっていたというケースです。売却の相談を始めて、買主側の調査や役所での確認の段階で初めて再建築不可だと分かり、想定していた価格との差に驚かれることも少なくありません。売却を考え始めた段階で、まずは前面道路の種別と接道の長さを確認しておくことで、その後の計画を立てやすくなります。

再建築不可であることは必ず買主に伝える

再建築不可であることは、買主にとって物件の価値を大きく左右する重要な情報です。不動産会社が仲介する場合は、契約前に行われる重要事項説明の中で、敷地と道路の関係や建築上の制限が説明されます。売主としても、再建築不可であることや、接道に関して知っている事情は、隠さずに買主へ伝えることが大切です。

再建築不可であることを知りながら伝えずに売却した場合、後になって買主から契約の解除や損害賠償を求められるおそれがあります。売買契約では、物件が契約の内容に適合しない場合に売主が責任を負う「契約不適合責任」が定められており、契約書に記載された内容と実際の物件の状態が異なれば、トラブルの原因になります。再建築不可であることや、既存の建物に関する制限を契約書や物件の説明資料に明記し、買主が納得したうえで契約することが、売却後のトラブルを防ぐポイントです。

再建築できる状態に近づけるための方法

隣地の一部を購入または借りて、接道を確保する

接している部分の長さが2mにわずかに足りない場合などは、隣地の一部を購入する、あるいは借りることで、接道義務を満たせることがあります。再建築できる状態になれば、物件の評価は大きく変わる可能性があります。ただし、隣地所有者の協力が前提となるため、日ごろの関係や、隣地所有者にとってのメリットも含めて話し合う必要があります。

建築基準法43条の許可・認定を受ける

接道義務を満たしていない敷地でも、敷地の周囲に広い空地があるなど、一定の基準に適合し、交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認められる場合には、特定行政庁の許可(建築審査会の同意が必要)や認定によって建築が認められる制度があります。認められるかどうかは個々の敷地の状況や自治体の基準によって異なるため、まずは自治体の窓口で相談してみることになります。

道路の指定を受ける・セットバックする

私道に面している場合は、一定の基準を満たした私道について、特定行政庁から建築基準法上の道路としての位置の指定を受ける方法もあります。ただし、道路の幅員や構造などの基準を満たす必要があり、私道の所有者全員の同意が求められるのが一般的です。2項道路に面している場合は、セットバックを行うことで建て替えが可能になります。

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再建築不可の工場・倉庫の主な売却先

再建築不可の工場・倉庫の買主として、まず考えられるのが隣地の所有者です。隣地の所有者にとっては、土地を合わせることで敷地が広がり、接道の問題も解消できる場合があるため、通常の買主よりも高く評価してもらえる可能性があります。隣地の工場や倉庫が事業を拡張したいと考えている場合などは、有力な候補になります。

次に、現在の建物をそのまま使いたい事業者も買主の候補になります。建て替えの予定がなく、倉庫や作業場として当面使えればよいという事業者にとっては、価格が抑えられている再建築不可の物件は魅力的な選択肢になることがあります。建物を必要としない用途として、資材置き場や駐車場として活用したいという需要もあります。

また、再建築不可などの条件のある物件を専門に扱う買取業者に売却する方法もあります。買取業者は、隣地との交渉や許可の取得なども含めて物件を活用するノウハウを持っていることが多く、一般の買主が敬遠する物件でも買い取ってもらえる可能性があります。価格は市場で売却する場合より低くなる傾向がありますが、早く確実に売却したい場合には有力な選択肢です。買取と仲介の違いについては、工場・倉庫を「買取」と「仲介」で売る違いとは?で詳しく解説しています。

売却以外に、賃貸として活用する選択肢も

再建築不可の工場・倉庫は、売却すると価格が大きく下がることがあるため、すぐに売却せず、賃貸に出して活用するという選択肢もあります。建物がまだ使える状態であれば、倉庫や作業場、資材置き場を探している事業者に貸すことで、毎月の賃料収入を得ながら物件を保有し続けることができます。購入となると融資の問題がある物件でも、借りる側にとっては融資が不要なため、借り手は見つかりやすい場合があります。

一方で、賃貸に出す場合は、建物の維持管理や修繕の費用は引き続き所有者の負担になり、再建築不可の建物は大規模な修繕に制限があることにも注意が必要です。また、建物の老朽化が進めば、いずれは使えなくなります。賃料収入と維持費、将来の売却の見通しをあわせて考え、売却と賃貸のどちらが合っているかを判断することが大切です。売却と賃貸の比較については、工場・倉庫の「売却」と「賃貸」、どちらが得か徹底比較もあわせてご覧ください。

私道に面している場合の注意点

前面の道が私道の場合は、接道の問題とは別に、通行や工事に関する権利関係も確認しておく必要があります。私道の所有者から、通行の承諾や、上下水道やガスの配管工事のために道路を掘削する承諾を得ているかどうかは、買主にとって重要な判断材料です。承諾が書面で残っていない場合、買主から承諾書の取得を求められることがあります。私道の所有者が複数いる場合や、所有者が亡くなって相続人が分からない場合などは、承諾を得るまでに時間がかかることもあるため、早めに確認しておきましょう。

再建築不可の工場・倉庫を売却する進め方

再建築不可の工場・倉庫を売却する場合は、まず物件の状況を正確に把握することから始めます。役所の窓口で道路の種別を確認し、接道の長さや自治体の条例の基準を調べたうえで、再建築不可にあたるのか、どの程度の対策で再建築できる状態に近づけられるのかを整理します。

次に、隣地の一部取得や43条の許可など、再建築できる状態にする方法が現実的かどうかを検討します。費用や時間をかけて再建築できる状態にしてから売却するほうが有利な場合もあれば、現状のまま売却したほうが手取り額が多くなる場合もあります。そのうえで、隣地の所有者への打診、建物をそのまま使いたい事業者を探す仲介、専門の買取業者への売却など、物件に合った売却方法を選びます。売却を急ぐ事情があるかどうかも、方法を選ぶうえでの大切な判断材料です。

売却前に整理しておきたい情報

再建築不可や接道条件の悪い工場・倉庫の売却を相談する際は、あらかじめ次の情報を整理しておくと、その後のやり取りがスムーズになります。前面道路の種別と幅員、敷地が道路に接している部分の長さ、建築確認済証や検査済証の有無、土地の測量図や公図、私道の場合は所有者と通行・掘削の承諾の状況、隣地所有者との関係などです。また、建物の築年数や現在の使用状況、大型車が出入りできるかどうかといった情報も、買主の検討材料になります。これらがすべて揃っていなくても相談は可能ですので、分かる範囲で構いません。

よくある質問

Q. 再建築不可の工場は、そのまま使い続けても問題ありませんか?
既存の建物を現状のまま使い続けることは認められています。ただし、建築確認が必要になる規模の増築や改築、大規模な修繕などは原則としてできないため、将来の設備更新や改修の計画には注意が必要です。

Q. 再建築不可の工場・倉庫は、どのくらい価格が下がりますか?
立地や建物の状態、再建築できる状態にできる見込みがあるかどうかによって大きく異なるため、一概にはいえません。一般的には、同じ条件の通常の物件と比べて大きく下がる傾向があります。

Q. 建物を解体して更地にすれば売りやすくなりますか?
再建築不可の場合、解体すると新たに建物を建てられないため、かえって売りにくくなることがあります。解体の前に、土地の使い道や再建築できる状態にする見込みを確認することをおすすめします。

Q. 前面道路が狭いだけでも、売却に影響しますか?
再建築が可能でも、大型トラックが出入りできないなど使い勝手に制約がある場合は、工場・倉庫としての評価が下がることがあります。セットバックが必要な場合は、使える敷地面積が減る点にも注意が必要です。

Q. 再建築不可かどうか分からない状態でも相談できますか?
もちろんです。物件の所在地や現状をお伺いしたうえで、ご相談内容にふさわしい提携先の専門業者をご紹介します。

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まとめ

再建築不可や接道条件の悪い工場・倉庫でも、売却することは可能です。ただし、建て替えができないことや融資を受けにくいことから買主が限られ、価格は下がりやすい傾向があります。まずは、前面道路の種別と接道の長さ、自治体の条例による基準を確認し、再建築不可にあたるかどうかを正確に把握することが出発点です。隣地の一部を取得する、建築基準法43条の許可を受けるなど、再建築できる状態に近づける方法がある場合もあります。隣地の所有者、建物をそのまま使いたい事業者、専門の買取業者など、物件に合った売却先を選ぶことが大切です。再建築不可の工場・倉庫の売却についても、まずはお気軽に無料相談フォームよりお問い合わせください。

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